無題
雑記。この1年、振り返れば、数学に時間を割いたな、と思う。色々な本を読んだが、数学というのは既存の概念を、別の概念によって捉え直すことで拡張する、自らを再帰的に増幅させてきた学問なのだな、と感じることが多々あった。
一番に印象に残ったのは、2つの集合が「同じ数だけある」ことを、無限集合においてどう定義するのか、ということだった。元が有限個の集合なら、それぞれの個数を数えて、両者が一致していれば同数ある、といえるであろうが、無限個あってはそれはかなわない。そこで、同数あるということを、同じ個数だけある、ということから離れて、別の視点から捉えようと思う。どういうことが成り立てば、「同数ある」と認められるだろうか。
これは赤攝也「集合論入門」(ちくま学芸文庫)からの借用だが、コップと皿がそれぞれいくつかあって、同数あることを知るには、皿にコップをひとつずつ対応させていけばよい。これでいずれかが余ったり、足りなかったりしたら、同数あるなどどいう人はいないだろう。これはいいかえれば、皿たちとコップたちに1対1の対応があるということができよう。
そこで、数学は、2つの無限集合 が「同数ある」とは、 と の間に、ある全単射 が存在する、と定義した。誰もこの定義に文句はいえまい。
何が言いたいか。いま、自分の数学的な力を磨いていくためには、より多角的な視点が必要なのだろう、と感じている。いろんなことを知って、いろんな知見を得て、いろんな角度からものを見ることができるようにすることが肝要であって、それはそのまま数学的教養を身につけることに直結しているのだろうな、と感じている。
より高級な数学を学ぶためには、数学以外の教養も身につける必要がありそうだ。これからは、いろんなことに手を出していきたい。