漸近展開
漸近展開がアツすぎるので。
漸近展開というのは、 のなんたら乗とか、 のなんたら乗などの「典型的な関数」たちで、複雑な関数の挙動を近似する展開方法のことです。これがなかなかエモいので記事を書きます。
言うより見てもらう方が早いので、たとえば、 の のときの漸近展開を求めてみます。
ランダウの記号と と と と
その前に、いくつかの準備をしておきます。まずは、無限小とランダウの記号について。
のとき ならば, は のとき無限小である, という.
また, のとき無限小であるような2つの関数 があって,
であるならば, のとき は に比べて無視できる無限小であるといい,
と表わす. この をランダウの記号ということがある.
例. だから, ゆえ,
次に、上の3つの関数について。実は、 のとき、
であることが知られています。くわしくはのべませんが、テイラー公式から導出できます。
たとえば 式では、正弦関数を の冪乗の和で近似しています。下の図から、 が小さいときにはよく近似できていることがわかります。
の での漸近展開
とおく. まずは両辺で対数をとって,
(上の式変形をみると、ランダウの記法がとても優れたものであることが伝わってきますね...)
したがって, に注意すれば,
成果を確認してみましょう。
のときの挙動がよく近似できています。すごい!
さらに精度を上げたいときは、 式をもっと展開していって、同じように漸近展開すればよいです。ちなみに、 の項まで行うとこんな感じです:
おしまい。