複素積分の典型問題
を求めたいと思います。大学1年生で習う の置換でも解けますが、複素積分で解くと気持ち良いです。
(解答)
被積分関数を部分分数分解する.
で両辺の分母を払えば,
となるので, の係数を両辺で比較すれば, それぞれ , を得る. 行列で書けば,
となる. 左辺の行列の行列式は だから, 逆行列が存在して,
となるから, 結局,
とおく. ここで だから, (a) , (b) のどちらか一方が成立するので, のもとで場合を分ける.
(a) すなわち のとき. だから, 上で が正則となるので, Cauchyの定理から . だから, .
(b) すなわち のとき. だから, 上で が正則となるので, Cauchyの定理から . だから, . (答)
さて、何が気持ち良いのかというと、 というひとつの条件が, ① の両方が に属さないこと②連立方程式の解の存在条件になっていることーという二つの有用な結果をもたらしているところで、この相性の良さは複素積分を経た計算でないと実感できない。この問題を作ることはいつの時代であっても出来たはずなのに、この という仮定の効用は、「複素積分」という概念がなければ知ることができない。その点で、この定積分には先験的に複素積分という概念が埋め込まれていて、複素積分を使って解かれるのを待っていたかのようにも思える。そこが面白い。