而して

ノートとかメモとか。

確率の入試問題

ジョーカーをのぞいたトランプ52枚の中から1枚のカードを抜き出し, 表を見ないで箱の中にしまった. そして, 残りのカードをよくきってから3枚抜きだしたところ, 3枚ともダイヤであった. このとき箱の中のカードがダイヤである確率を求めよ.  [早大]

という入試問題について, W.Fellerの説明する古典的な確率論に沿って解答してみたい.

(解答) かかる52枚を  a _ 1, \ldots, a _ {52} とかくとき, 最初に抜き出す1枚と後に抜き出す3枚の結果を左から順に並べれば, 4次元横ベクトルに対応させることができる. このとき, 標本空間 (起こり得るすべての結果を集めた集合)  \Omega は

 \Omega = \{ (a _ {i _ 1}, a _ {i _ 2}, a _ {i _ 3}, a _ {i _ 4}); 1 \leqq i _ {j} \leqq 52, i _ {j} \neq i _ {k} (j \neq k)\}

 と表現できて,  |\Omega| = 52\times 51 \times 50\times 49. いずれの標本 \Omega の元)も同等の確率を持つから(どれかが優位であるということはないから), かかる試行は同様に確からしい. ゆえに各標本は一様に  1/|\Omega| の確率を持つ. 

 \Omega のうち,  a _ {i _ 2}, a _ {i _ 3}, a _ {i _ 4} がダイヤである事象 \Omega の部分集合)を  A とし,  a _ {i _ 1} がダイヤである事象を  B とすれば, 求める確率は  P(B|A) = P(A\cap B)/P(A).

 P(A) について,  |A| = 13 \times 12 \times 11 \times 49 で,  P(A)= |A|\times (1/|\Omega|).  P(A\cap B) について,  |A\cap B| = 13\times 12\times 11\times 10 で,  P(A\cap B) = |A\cap B|\times (1/|\Omega|). したがって

  P(B|A)=|A\cap B|/|A| = \textbf{10/49}.

各標本がひとりでに確率を持っている, という視点が, まるで電場という概念の発見のよう. こうやって教えてくれたらよかったのに.