Hadamardの不等式
について,
証明
のなかに に等しいものがあれば両辺とも で成立つ. 従って, はじめから はすべて でないとしてよい. そこで, 両辺を で割って
をうるから, 以下の命題を示せばよい:
について,
以下, として
とかき, 関数 を
と定める.
題意を示すためには, 写像 を
として, の 上の極値問題を解けばよい.
であり, ならば各 のなかには でないものがあるから
ゆえにLagrange乗数法が使える. すなわち, を 項横ベクトルとして を定めるとき, が 上の極値点であるならば, ある に対して となる. この につき
であるが, 行列式を第 行で展開すれば
で, 各 はすべて に依らないから,
となる. また, 第2項については であるから, 式は結局,
もうもらったようなものである. 今度は行列式を第 列で展開して, 式を用いれば
を得る. これを 式にもどして
行列でかけば
両辺で転置をとって, 左から行列 をかければ
ゆえに, 両辺の行列式をとって
であるから,
ところで はコンパクトだから, 上で連続な関数 は最大値および最小値を持たねばならない. 実際, それぞれ (基本行列)ととれば,
となる. 終
ちなみに の場合は幾何的に考えるとわかりやすい.
Lagrange乗数法との相性が良すぎる, 個人的にとても好きな証明である.